イット・カムズ
◆イット・カムズ
評価:駄作
点数:45点
ネタバレあり
製作年:2018年
製作国:カナダ
★あらすじ
『イット・フォローズ』のコーリー・ラージ監督による海洋パニックホラー。7人の男女と共にクルージングに出ることになった女子大生・ジェス。だが夜になるとエンジンが壊れ遭難してしまう。船の中では“9人目の乗客”がいるかのような物音がして……。
★一言感想
原題は「THE NINTH PASSENGER」
いやー、これはいけません、久々に感想を書くのがつらい映画を見てしまいました。パッケージ、紹介文を見る限りではあまり地雷の気配は感じられなかったのですが……残念ながら本作は、B級映画の水準を遥かに下回りまして、Z級映画に近い代物となっております。
何がよくないかと言いましたら、とにかく展開が遅いのですね。全編76分と、どちらかと言えば短めの作品なのですが、非常に退屈なために長く感じてしまいます。
主要登場人物がクルーザーに乗り込んでワインを飲み、クルーザーの持ち主の御曹司が機嫌を損ねた彼女を引き留める為に沖に出るが、クルーザーのエンジンが壊れて遭難する……そこまでで、なんと時間にして40分が経過。50分あたりでクルーザーに積まれた緊急用のゴムボートで謎の島に上陸、そこでようやく、怪物が潜んでいるのでは? という仄めかしが始まる有様です。
物語も終盤にもなって、怪物がくるぞー、くるぞーと、じらされましても、今更過ぎて呆れ果ててしまいます。夏休みの終わり頃に「宿題やらないといけないからその前に机の上を掃除しなくちゃ!」なんて言い出す小学生並みに計画性が皆無と言えましょう。
散々要らない描写で引き伸ばして、勿体ぶった挙句、ついに怪物が物語に登場するのですが、怪物の造形が不出来なのを誤魔化すためなのでしょうか、怪物はまともに画面に映りません。登場人物が襲われる場面も、水中に引き込まれるとか、いつの間にか姿が消えているとか、叫び声と共に画面外に引っ張られていくとか、明らかに怪物の直接描写を回避したであろうやっつけ仕事となっております。そんなに怪物を映すのが面倒なら、もういっそプレデターの光学迷彩のように、姿を消せる設定でもつけておけば自然だったのではないでしょうか。
曲がりなりにも、2018年の作品でありますよね? 一体いつの時代の映画なんだ……と嘆きたくなってしまいます。
様子を見に行ったマルコムの返事がないだけで、マルコムの死体も怪物の姿も何も見ていない女性が「何かにマルコムが殺された! 隠れて!」ってエスパーレベルで察しが良かったり、ヒロイン役のジェスが「オーマイガー、フア~」って全身脱力モノの棒読み演技をしていたり……他にも、駄目な点を挙げましたらきりがありません。
つまらない、見所がない、おまけに後味まで悪いと三拍子揃った作品でありますので、お勧めはいたしかねます。本作をご覧になるくらいでしたら、他の事に時間を使った方が有意義に過ごせますことでしょう。