インサイド・マン
◆インサイド・マン
評価:良作
点数:55点
ネタバレあり
製作年:2006年 製作国:アメリカ
★あらすじ
狡猾な男ダルトン率いる4人の銀行強盗グループが、白昼のマンハッタン信託銀行を急襲、従業員と客を人質に取り立てこもる。 事件発生の連絡を受け、NY市警のフレイジャーとミッチェルが現場へ急行するが……。
★一言感想
冒頭、ダルトン・ラッセルが銀行強盗計画について語り出す場面。私は『何処かに隠れているのだろうか?』と思いました。
そして、物語は進み……本編終盤で、主犯ダルトンがデルコンピューターの段ボール箱を押し退けつつ、隠れていた備品倉庫の奥から登場します。あ、はい、まあ……そうですよね。 人質に犯人グループと同じ服を着せて警察の目を欺いたり、盗品を外部に持ち出すため、備品倉庫の奥に急ごしらえしたスペースで息を潜めたり、犯人グループは完全犯罪遂行のため手を尽くします。 人質に紛れて銀行から出た共犯者は誰なのか? については、細かい描写が伏線になっており、一考の余地があって面白いです。
犯人グループは銀行の金庫には一切手をつけず、公式には存在しない事になっている貸金庫392番から、書類とダイヤモンドだけを盗み出します。 その貸金庫392番の持ち主こそ、誰あろう銀行の会長ケイス。彼はヒトラーに与し、同胞のユダヤ人を見捨てて一財を築いた後ろ暗い過去があります。その、過去の秘密に係る書類が、ダイヤと共に貸金庫392番に眠っていたというわけです。
犯人グループはどういう経緯かケイスの秘密を知っており、最初から秘密書類とダイヤを奪うために、銀行強盗計画を立案したようです。なんだか義賊めいた強盗ですね。 しかし、ケイスの秘密書類が入った封筒、前面に思いっ切りナチスのハーケンクロイツが書かれていて笑います。そのままじゃないですか! ケイスは、秘密書類を後生大事に貸金庫に眠らせておいたりせず、燃やすなりなんなりして処分してしまえばよかったのに……と思わずにはいられません。
最後まで犯人グループの素性も、本当の関係もわからないままですが、彼らは何処で出会い、どのようにしてケイスの秘密を知り、意気投合したのか……物語中に出て来た断片情報から、朧気に全貌を想像する事はできます。
本作、突っ込みどころが少なく堅実なのはいいのですが、やたら長くて、思ったより盛り上がらないのが玉に瑕です。 総じて完成度の高いクライムサスペンスですが、その分高望みをしてしまう一品でありました。