ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

オリジン

f:id:unknownhuman:20180810123459j:plain:w211:h300

◆オリジン

評価:駄作

点数:80点

ネタバレあり

製作年:2016年
製作国:スウェーデン

★あらすじ
スウェーデン発のSFスリラー。
生物学部生のジュリアとレベッカは、細胞の老齢化を遅くする新薬の研究をしていた。
そんなある日、ジュリアの恋人・エリックが末期癌で余命幾ばくもないと分かる。
彼女たちはエリックに臨床試験前の新薬を投与するが……。

★一言感想
原題は邦題と一緒であります。
私など「オリジン」と言えば、お弁当屋さんくらいしか思い浮かびませんが、皆様は如何でありましょうか。

本作のメインとなる登場人物は、ジュリア、レベッカ、エリックの三人です。

ジュリアは、最初に何をしてでもエリックを助ける! と意気込んでいたのに、副作用が出るから治療はやめようと言い出して、怒って暴走したエリックを殺そうとします。というか殺します。元はと言えば、ジュリアがエリックの命を救う為に始めた実験なのですが……思い通りにならないからといって治療の中断を通告して、挙句、殺してしまうなんて。
人間として最低です。

レベッカは、研究室から持ち出したサンプルでこっそり実験を進めている最中、ジュリアとエリックに内緒で実験をしている自室に大量の人を集めて、ホームパーティを開催します。いかにスウェーデンではホームパーティー文化があるとは言え、空気を読まないにもほどがあります。嫌がらせでしょうか? そしてエリックとは違い、不治の病というわけでもないのに、勝手に自分に新薬を投与して、副作用が出始めたら「どうせ死ぬのよ!」などと、ジュリアに八つ当たりします。
最後は、死にかけたジュリアに問答無用で、副作用間違いなしの新薬を投与します。
人間として最低です。

エリックは、新薬を投与して以降、大分情緒不安定になってしまいました。新薬の副作用とするなら情状酌量の余地はありますが、研究室に侵入した際、追いかけて来た警備員を無駄に殴り倒したり、燃え盛る部屋からジュリアを見捨てて、サンプルを奪った教授を追いかけたりしたのはいただけません。
人間として最低です。

ご覧の通り、物語の軸となる三人が三人とも、何がしたかったのかよくわからない上、好感を抱くどころか嫌悪を催す人間として描かれています。製作者が意図してそのように描写したのではなく、単に脚本、演出が杜撰だったために、結果としてそうなったのでありましょう。

他にも、気になるところが多々あります。
エリックは新薬の作用で知覚が鋭敏になり、筋力が増強したような描写がありながら、レベッカと喧嘩をした末に、殴られて失神する醜態を晒します。強くなったのではなかったのでしょうか?
最後、ジュリアがエリックを刺し殺す場面の直後、無傷だったはずのジュリアがいつの間にか死にかけていますが、描写不足のせいで、死にかけている理由がまったくわかりません。

f:id:unknownhuman:20180810140925p:plain
※SF成分は意外と少なめです

SF部分に期待しようにも、そこも薄味なので、いよいよもって見所はありません。
パッケージには「遺伝子を解読しなければ、僕は僕に殺される」との意味深な惹句がありますが、要は、異物を体内に入れたために自己免疫疾患を発症しただけです。

登場人物が何がしたいのかわからないばかりでなく、作品自体も、焦点がぼやけていて、結局、何を描きたかったのかよくわからず。残念な作品でありました。