ぼんやり考察してみよう

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カッターヘッド 真夜中の切断魔

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◆カッターヘッド 真夜中の切断魔

評価:普通

点数:60点

ネタバレあり

製作年:2018年
製作国:アメリ

★あらすじ
湖畔の別荘へ向かったローラと幼い二人の娘マディとケイラ。到着後、付近の警備をしているオーウェンから、別荘の前の持ち主の話を聞かされる。その一家の幼い息子が失踪し、残された家族は悲しみに暮れ引っ越したという。その息子は、結局行方知れずのままらしい。日も落ちた頃、突然マディが腹痛を訴え嘔吐をする。彼女が吐き出した紙屑には「HELLO」と書いてあった。その時、玄関をノックする音が聞こえるが……。

★一言感想
原題は「HE'S OUT THERE」

湖畔の別荘という『十三日の金曜日』からお馴染みのロケーションを舞台としたスラッシャー・ホラーであります。

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本作に登場する殺人鬼は『切断魔』ジョン。ジョンはかつて幼い頃、この別荘に住んでいましたが、いつの間にか行方不明になった人物だそうです。いや、それがどうして今更になって斧を片手に暴れ回るのかまったくわかりませんぜ。凶行に至るまでの背景が不明過ぎます。終盤で「君たちは毎年別荘に来ていたのに僕を見付けてくれなかったね」みたいな独白がありますが、そんなん普通に姿を見せればいいだけじゃないですか!

謎の多い彼の失踪にしても、残された家族が悲嘆に暮れて引っ越したというのは古参警備員のオーウェンも証言していますし、何ならあらすじにも書いてありますので、愛のない家庭だったわけでも、事件事故などに巻き込まれたわけでもなさそうで、彼自身に原因があったとしか考えられません。

元々偏執狂めいたところのあったジョンは、答えの出ない絵本の謎かけ――晴れた日に闇の隠れる場所はどこ?――が気になるあまり「俺自身が闇になる事だ!」と失踪。そのまま湖畔近くの森の中を拠点にサバイバル生活を送っていた……のでしょうか。カップケーキなんか作っているところを見るに、時々は近隣の町にも出没しては盗みを働いたりしていたのかもしれません。身分を隠してこっそり働いていた、は考え辛いですね。何にせよ、作中ではっきりとした説明はなく、それこそ真相は闇の中です。

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オーウェンは、ジョンは頭の足りない奴だった、などと述懐していましたが、動かしたらホイールが外れるように車を破壊したり、予め録音したダディの声で玄関から出るよう誘導したりと、意外にも狡猾な手口でローラたちを翻弄します。森の中にお茶会セットと毒入りケーキを仕掛けておいたのも、幼い姉妹に向けたブービートラップだったのでしょう。

不思議の国のアリスめいた光景に「ティーパーティーだ!」と喜ぶまではいいですが、姉妹よ、何も森の中に放置されたケーキを食べなくても。拾い食い、ダメ、ゼッタイ。仮に毒入りじゃなかったとしても、傷んでいて結局お腹を壊しそうです。しかし、ジョンがあの不気味なマスク姿で、せっせとお茶会の用意をしたり、お手製のカップケーキを用意している姿を想像するとシュールで和みますね。

Z級ホラーと思いきや、逃げ場のない場所でじわじわと追い詰められていく緊張感はかなりのものです。途中、どうせ〇〇になるんだろう、という予想を裏切る展開もありまして、なかなか楽しめます。それでいて最後の最後は、当初の予想通りの結末になるのはご愛敬。良作とは言えないものの、丁寧に作られた佳作でありました。