ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

ザ・タンク

f:id:unknownhuman:20181006100640j:plain:w211:h300

◆ザ・タンク

評価:微妙

点数:85点

ネタバレあり

製作年:2017年
製作国:アメリ

★あらすじ
パラノーマル・アクティビティ』のスタッフが手掛けたソリッド・シチュエーションスリラー。火星探査訓練のため、南極に置かれたタンクで過ごすことになった6人の宇宙飛行士たち。心身共に強靭なはずの彼らだったが、現実と訓練の境界線を見失い……。

★一言感想
邦題は原題と一緒であります。

火星探査の予行演習として、南極のタンク内で471日間を過ごす訓練に挑む6人の宇宙飛行士。順調に日程を消化していく彼らですが、トムのチョコレートがなくなるという重大事件を皮切りに、チームワークに亀裂が入っていくのでした。

f:id:unknownhuman:20181006125409p:plain
※そんな深刻そうに言わなくても

物語の冒頭から、訓練の責任者ベイカーが、多くの犠牲を出した杜撰な訓練計画を、査問委員会に責め立てられております。チームがほぼ全滅した事が査問委員の口から語られるや否や、重々しい効果音と共にタイトルコール。開始数分で『全員死亡ではないが、生存者は極少数』という結末がわかってしまいます。何も、物語が始まる前に、いきなりネタバレをしなくても……と思わずにはいられません。

この訓練には、宇宙を模した閉鎖環境下におけるストレステストの意味合いもあったと思うのですが、何故か本部は宇宙飛行士たちをまともにモニタリングしません。メンタルケア、ストレスチェックどころか、リーダーへの聞き取り調査すらしない体たらくです。こんなに報告連絡相談が滞っていては、何のための訓練なのかわかりませんぞ。

チョコレートがなくなった事で疑心暗鬼に陥ったり、トイレ掃除を賭けたポーカー勝負で険悪な空気になったり、いくつかの火種を抱えながらも、訓練は無事最終日を迎えるのですが、よりにもよって最終日にメンバーの一人、ルークが暴走。意味のわからない事を宣いながら、ラボで作ったお手製の銃を仲間に向けます。

f:id:unknownhuman:20181007120711p:plain
※このルークは暗黒面に落ちてしまった模様

デーンの冗談を真に受けて「神を侮辱するな!」と怒り出す宗教キチ信心深いルークでありましたが、右の頬を打たれたら全力で左の頬を打ち返すばかりか、無辜の仲間を射殺しようとするとは、神もお怒りのことでありましょう。ルークは元々メンタルに問題を抱えておりまして、それがこの訓練で表面化したようです。

ルークのみならず、このタンク内、問題児だらけです。
不測の事態にあっけなく発作を起こして役に立たないばかりか、覗き行為がばれてショック死するトム。子供を亡くしたトラウマ持ちで、隙あらば船内で不倫しようとするウィル。重傷者の治療をしていたかと思えばいつの間にかいなくなり、無意味に宇宙服を着て頓死しているネリー。前戯で愉しませる努力もしないで、早漏の言い訳をするデーン。 真っ当なのはジュリアくらいのもので、どう考えても、人選から間違っていたと言う他ありますまい。指令本部は、ルークがメンタルに問題があるのを事前に把握していたらしく、もしかしたら、人選にあたっては何者かの意思が働いたのかもしれませんが、作中で説明がないため、よくわかりません。

終盤、脈絡もなくドストエフスキーをけなした上に、暖を取る為に『罪と罰』のページを破って燃やす場面があるのですが、製作陣はドストエフスキーに何か恨みでもあるのでしょうか。

ところで、チョコレートを盗んだのは誰だったのでしょうね。