ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

ストリート・オーケストラ

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◆ストリート・オーケストラ

評価:普通

点数:80点

ネタバレなし

製作年:2015年
製作国:ブラジル

★あらすじ
ブラジルのスラム街を舞台に、子どもたちの交響楽団が誕生するまでを描いた実話ドラマ。交響楽団のオーディションに落ちたヴァイオリニスト・ラエルチは、スラム街の学校で音楽教師を務めることに。しかし、生徒たちは楽器の持ち方すら知らず……。

★一言感想
原題は「TUDO QUE APRENDEMOS JUNTOS」
と言われましても、ワタシ、ブラジルポルトガル語、ワッカリマセーン……ME DESCULPE……。

ブラジルはサンパウロに実在します「エリオポリス交響楽団」の誕生を描いた実話ベースの映画であります。

ヴァイオリン奏者のラエルチは交響楽団のオーディションに落選して、失意の底におりました。音楽に対するストイックな姿勢が仇となり、四重奏(カルテット)の仲間ともぎくしゃくしてしまいます。しかしながら、生きていくためにはお金が必要。滞納している家賃も支払わなければなりません。ラエルチは気乗りしないながらも、日銭を稼ぐために、NGO経由で、スラム街の子供たちへの音楽指導の仕事を始めることになるのでした。

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※青空教室にうろたえるラエルチ先生

早速出勤するラエルチでしたが、まず教室が金網で囲まれた屋外であることに衝撃を受けます。バイオハザードだったらゾンビが金網がっしゃんがっしゃん揺らしているような場所であります。しかも男子は菓子を買い食いするわ、女子は喧嘩するわ、授業中にスマホは鳴るわ……秩序なんてあったもんじゃありません。ですが、授業を続ける内に、子供たちも、そして彼自身も、少しづつ変化していきます。

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※弓の持ち方、楽譜の読み方……基礎中の基礎からの指導

ギャングに絡まれたラエルチが、ヴァイオリンの演奏で窮地を切り抜けた……そんな噂も広まり、生徒たちもラエルチに一目置くようになります。
ギャングが音楽で突きつけた銃を降ろすなんて、某超時空要塞の世界観でしか成し得ない夢物語かと思いましたが、現実も捨てたものではございません。優れた芸術には確かに、人種、性別、貧富の差を超越して、人の心を動かす力があるのです。それは勿論、映画にも、ですね。

実話を主軸として、劇的な演出のないまま静かに進む物語は、何処かドキュメンタリータッチ。エンターテイメント性より、メッセージ性を強く感じる作品であります。主演のラザロ・ハーモス自身が他ならぬスラム出身の俳優であるとか、警官隊を相手取った暴動の場面は、実際に暴動を経験した人々が本気で演じているとか、そういった裏話も知った上で鑑賞すると、より本作を奥深く味わえるかもしれません。

――「闘うんだ お前たちにはクラシックという武器がある」