ダークレイン
◆ダークレイン
評価:駄作
点数:30点
ネタバレあり
製作年:2015年
製作国:メキシコ
★あらすじ
雨に潜む“何か”が人間を狂わせていくウイルスパニック。
世界中が未曾有の豪雨に見舞われた夜、人里離れたバス・ステーションに居合わせた8人の男女が奇妙な現象に巻き込まれ、ひとりの女性・ローザがウイルスに感染したような症状を見せ……。
★一言感想
舞台は、1968年メキシコの、とあるバスステーション。
全編にわたって彩度を落とした白黒の画面で、フィルム特有のノイズまで再現してあります。古い映画がお好きな方にはお叱りを受けそうですが、それだけで非常にストレスです。作品の年代設定が古いことから、雰囲気を出すための演出なのでしょうが、単に見にくいだけです。
物語が面白ければ、白黒でも何でも気になりませんが、地味な映像につまらない物語が重なるため、見ていてしんどいものがあります。
豪雨のバスステーションで、一体何が起こるかと申しますと、老いも若きも男も女も、全員同じ、髭を蓄えたおじさんの顔になってしまうのです。しかも、ラジオによれば、異変はこのバスステーションに留まらない模様。ピカチュウ大量発生チュウ! ならぬ、おじさん大量発生チュウ! で、世界はおじさんパンデミックです。
謎のおじさんパンデミックに恐怖した人々は逃げ出そうとしますが、ただのガラス扉のはずの出入り口は何故か銃でも破れず、全員、バスステーションに閉じ込められてしまうのでした。
閉じ込められた面々は、新型ウィルスだ、政府の陰謀だ、と散々もめますが、最後は、宇宙と交信していたらしい超能力少年イグナシオくんが全部やりました! という、脱力するしかない、残念なオチに着地します。
本性を現してからは、邪悪を体現したかのようなイグナシオくんの怪演が光りますが、すごい超能力者だからなんでもできてしまうだなんて、くだらないにも程があります。
短編作品の一発ネタならまだよかったのですが、長編作品でこれは……。
結局イグナシオくんは、無敵の超能力により大麻を持った学生を犯人に仕立て上げ、悠々と逃げ延び、バスに乗って、トラテロルコに向かいます。バスの車内でイグナシオくんの持っていた本は、現実に起きた、トラテロルコ事件も彼の仕業である事を示唆しているのでしょう。
オープニングとエンディングの一見意味深なようで内容のない語りは、エド・ウッド作品の水先案内人、クリズウェルを思い出します。
ジェームズ・ボンドやらマリリン・モンローの写真が、おじさんパンデミックの影響を受けて、全部おじさんの顔に変わっているのは笑いましたが、面白かったのはそこだけで、全体としては、何がしたいかわからない、投げ遣りな作品でありました。