ぼんやり考察してみよう

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ハザード・マテリアル

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◆ハザード・マテリアル

評価:普通

点数:40点

ネタバレあり

製作年:2013年 製作国:アメリカ

★あらすじ

猛毒化学工場に巣食う異形のマーダーの恐怖を描いたショッキングホラー。 人気のワルふざけ番組「恐怖ドッキリカメラ」のターゲットにされたジェイコブは、父親が事故で亡くなった古い化学薬品工場を訪れることになる。

★一言感想

今日の映画は「ハザード・マテリアル」です。 原題は「HAZMAT」

巷で人気のドッキリ番組、今回の舞台は呪われていると噂の化学薬品工場! ドッキリ番組の撮影から始まる導入は、以前見た「スケア・キャンペーン」を思い出しますね。クオリティの差はお察し、ですが。

ドッキリ番組本編の撮影と並行して、メイキングシーンも収録している……という設定のため、まずはドッキリカメラのスタッフ紹介と、今回の仕掛け人たちのインタビューから始まります。 これで我々視聴者も、自然な形で登場人物を把握できますね。うーん、親切設計。碌な人物紹介もしないまま物語を進めてしまう作品も多い中、こういった細かい心遣いをしてくれるのは有難いです。

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※各々、自己紹介をしてくれる番組スタッフたち

仕掛け人たちのインタビューを聞く限りでは、今回ドッキリのターゲットとなるジェイコブは、ドッキリの舞台である化学薬品工場での事故で父を亡くして以降、変わってしまったようです。 あまり喋らないし、喋ったら喋ったで気味の悪いことばかり言うので、率直に気持ち悪い……と、友達からは散々な言われよう。 それって、もしかしなくても精神を病んでいるのではないでしょうか。そんなジェイコブを因縁のある工場に連れ出して、更にドッキリを仕掛けるのはちょっとどうかなと思います。

そんなこんなで、廃工場に足を踏み入れたターゲットのジェイコブと、仕掛け人のアダム、カーラ、メラニーの四名。 途中、ジェイコブが、番組スタッフが隠れているモニタールームへの扉に固執し、無理矢理こじ開けようとするハプニングもありますが、概ね撮影は順調に進行していきます。 アダムが死体のふりをして、カーラとメラニーが悲鳴を上げて適当な場所に逃げたところに、満を持して悪役専門ティムが登場、ガスマスクを被り不気味な扮装をしてジェイコブを脅かす……そういうシナリオでしたが、ティムがジェイコブの前に姿を見せるくだりで問題発生。錯乱したジェイコブが、肩を叩いたティムを、振り向き様に斧で叩き切ってしまいます。

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※哀れティム

で、ようやくそこで何もかもがドッキリだと気付いたジェイコブは怒りのあまりご乱心。死体のふりをしていたアダムをマジモノの死体にして、番組スタッフにまで牙を剥きます。 ティムの死体から分捕ったガスマスクまで被ったりなんかして、この男ノリノリである 殺人鬼と一緒に工場に缶詰めになってしまった番組スタッフと仕掛け人は、果たして無事生きて外に出ることができるのでしょうか……と、そんな物語であります。

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※やたら小首を傾げるジェイコブ。ゆるキャラがやればかわいいのですが……

このジェイコブ、アダム殺害以降、最後まで一切の台詞がないので、実際何を考えて凶行に走ったのかはよくわからないわけですが、多分、元々病んでいたことに加えて、仕掛け人である友達にも内心嘲られていたようなので、今までの鬱憤が爆発したんじゃないでしょうかね。 何にせよ、ドッキリがトリガーとなって殺人鬼と化してしまったのは間違いないわけで、ドッキリも仕掛ける相手は選ばなければなりますまい。世の中、冗談の通じない人もおりますからね。

次々と人が死んでいく作品ながら、ゴアシーンはフレームアウト多めで、残念な出来ですね。 デイブがフレームアウトして、直後にその首が転がってくる場面があるのですが、転がる頭部が端から見ていて不自然なくらい軽かったりします。 驚異の軽さで床を転がったデイブの頭部をジェイコブが足蹴にすると、おむすびころりんすっとんとん、とばかりに、再度フレームアウト。 人間の頭部は、大体五キロくらいはあるはずなのですが……ホラー映画は基本、細かいことはいいんだよ!の精神で鑑賞しておりますが、丸めた新聞紙を蹴散らすくらいの重量感で人間の頭部が転がっていくのは流石に違和感を覚えますぞ。

本作が低予算なのは見ているだけでわかってしまいますが、それを差し引いても、全体を通して迫力に欠けます。 クライマックス、最後の生存者とジェイコブとの一騎打ちの場面にしても、ジェイコブがぽこっと肩を叩かれて、崩れ落ちるように気絶。一瞬、何が起こったのかわかりませんでした。

あれこれ書きましたが、薄気味の悪い化学工場に、殺人鬼と共に閉じ込められるシチュエーション自体は好みであり、一定の緊張感もあります。 鑑賞中、退屈するようなことはなく、真剣に作られているのも伝わりますので、その分評価は甘くなっております。