ぼんやり考察してみよう

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プール

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◆プール

評価:普通

点数:35点

ネタバレあり

製作年:2016年
製作国:アメリ

★あらすじ
閉ざされたプールを舞台に描くパニック・シチュエーションスリラー。
閉館間際のプールで泳ぐ姉妹。姉のブリーが婚約指輪を失くしたことに気付き、姉妹は指輪を探すが、全員が帰宅したと勘違いした館長がプールの電動カバーを作動させてしまい……。

★一言感想
原題は「12FEET DEEP」
少しだけ捻った、センスのある原題でありますね。
邦題は『プール』……そのままです。

何の変哲もない市民プール。閉館直前に、プールの底に婚約指輪を落とした事に気付いた姉妹。指輪を取り戻すべく潜水している最中、誰もいないと勘違いした館長がプールの電動カバーを閉めてしまい、哀れ姉妹はプールの内部に閉じ込められてしまうのでした。それにしても、電動で蓋が開閉するプールって本作で初めて見ましたが、実際に存在するのでしょうか。

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※なんとも仰々しい、プールの電動カバー

プールの管理を担当するのは、気持ちジグソウ似の館長……って、えっ、ジグソウ似どころか、まんまジグソウじゃないですか!? 思わず二度見してしまいました。ジグソウさんは何をしておられるのでしょう。シチュエーションスリラー繋がりでの出演でありましょうか? 『SAW』大好きな私としましては、彼がいつ好々爺(でもないか……)の仮面を脱ぎ捨てて「ゲームオーバーだ!」と啖呵を切ってくれるのかと、あらぬ期待をしてしまいましたが、ジグソウさんは冒頭以降、一切出番はありません。実質、プールの電動カバーを閉める為だけに登場したようなものでした。

本編については、プールに閉じ込められただけで1時間30分引っ張るのはやはり無理があると思いました。いくらなんでも間が持たないので、姉の人気に嫉妬でshitな妹が悪態をついて、姉妹が痴話喧嘩を始めたりします。いやいや、こんな状況なのですから、喧嘩している場合ではありません、仲良くしてほしいものです。優等生な姉と比べたら、妹はやたらめったら突っかかる困ったちゃんで、そのあたりも衝突の原因でありましょう。妹は妹で、他人には言えない辛い過去を背負っておりますから、仕方ないのでしょうか。そもそも、姉妹の過去話って必要なんだろうか……なんて思いもしましたが、今回のアクシデントを通して、険悪だった姉妹の絆が深まっていく過程は、素直によかったです。

妹はともかくとして、途中で登場する第三の人物、プール職員は本当に酷いと思います。このプール職員、保護観察中の前科者でして、姉妹の金品を奪った上で、閉じ込められた彼女らを見殺しにしようとする、紛うことなき悪人なのですが、作中では何故か、そうでもないよ!みたいにフォローする描写がありまして、なんだか腑に落ちないと言いますか、もやもやいたします。物事を一面的にしか捉えない、思考停止の善悪二元論は好きではないのですが、彼女の人格がぶれぶれなのは間違いなく、作劇の瑕疵と言えますでしょう。尺の都合かと勘繰ってしまうくらいには、何がしたいかわからない彼女のせいで、本作の株まで下がっております。邪魔するなら最後まで邪魔する。助けるなら最初から助ける。役割ってやつをはっきりしてくださいまし。

尚、日本版予告編ではサスペンス要素もあるかのように演出しておりますが、実際には、サスペンス要素は何もありません。本編を見た後で予告編を見ると、予告編の作りが上手くて、驚く事請け合いでありますよ。