ロスト・バケーション
◆ロスト・バケーション
評価:良作
点数:50点
ネタバレなし
製作年:2016年 製作国:アメリカ
★あらすじ
ジャウマ・コレット=セラ監督、ブレイク・ライブリー主演によるモンスターパニック。 休暇を利用してビーチを訪れたナンシーに1匹の巨大鮫が襲い掛かる。彼女は大量に出血しながらも近くの岩場に泳ぎ着くが……。
★一言感想
原題は「THE SHALLOWS」
その名の通り、浅瀬を舞台としたワンシチュエーション・スリラーです。
医学生のナンシーは、スペインの、とあるビーチに遊びに来ます。 実はこのビーチ、過去、ママがナンシーを妊娠中に訪れた、思い出深い場所なのですねー。 昔撮った写真をデジタル化したのか、スマートフォンに当時の画像が入っております。
ナンシーには悩みがありました。最近、最愛のママを闘病の末に亡くしたため、医師を目指すモチベーションが下がってしまっていたのです。
『人を救いたいと思って医師を志したものの、医者になったとして、ママのようにどうすることもできない患者さんも多いであろう……辛いわ……』
上記は筆者の意訳ですが、概ねそんな心情でありましょう。
暫しの間、全てを忘れてビーチでサーフィンを楽しむナンシーでありましたが、夕暮れ時、波間に浮かぶクジラの死体を見付けます。 クジラは全身を食いちぎられており、傷だらけ……勿論、サメの仕業です。そしてナンシーも、サメの襲撃を受けて、足に怪我をしてしまいます。
何とかサメから逃れ、岩礁までたどり着いたナンシー。医学生の本領発揮とばかり、創傷の応急処置を施します。 海岸までは凡そ200メートル、怪我をしたとはいえ、泳げない距離ではありませんが、海岸付近はお腹を空かせたサメが回遊しており、迂闊に岩礁から海に入ろうものなら、サメの餌食になってしまいます。しかも、時間経過と共に海は満潮となり、その岩礁すらも海中に沈んでしまうというおまけつきです。
時間が時間、場所が場所なので、頼れる人はおらず、岩礁には、ナンシーと同じく怪我をしたカモメが一羽。 果たしてナンシーは、無事海岸に戻ることができるのでしょうか……という物語です。
タイトルだけでお腹いっぱい、見る価値はないに等しい『ジュラシック・シャーク』……無駄な場面が多過ぎる、どころか全編が無駄の塊の『デビルシャーク』……などなど、ジョーズ以外はもれなく駄作なんじゃない? と思ってしまうくらい、ひどい作品が多いサメ映画界隈ですが、嬉しいことに、この映画は良作であります。
余談になりますが、私が見たサメ映画でしたら、本作の他にも『シャーク・ナイト』『パニック・マーケット』あたりはサメ映画としての平均点を上回っているのでお勧めいたします。
良くも悪くも尖った作品が多いサメ映画には珍しく、本作は、最初から最後まで真面目な物語で好感が持てます。 作品の舞台となっているビーチは本当に美しく、孤立したナンシー唯一の友であるカモメも、鳥の身でありながら絶妙な存在感を発揮しております。カモメってこんなにかわいかったっけ? と思ってしまいますね。
エピローグも爽やかで言うことなし、です。