ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

SHUT/OUT シャット/アウト

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◆SHUT/OUT シャット/アウト

評価:微妙

点数:70点

ネタバレあり

製作年:2014年 製作国:イタリア

★あらすじ
ギアコモ・レジーナ監督によるソリッド・シチュエーションスリラー。
閉じ込められたガレージの車の中で一酸化炭素中毒死寸前で目覚めたエレーナ。
何とか脱出方法を模索していると、彼女のスマホが鳴り、犯人からのゲームの開始が告げられる。

★一言感想
原題は「IN THE BOX」箱の中、ですね。

何者かにガレージに閉じ込められたエレナ。
ガレージの中には一酸化炭素が充満しつつあり、このままでは中毒死は免れません。
そんなわけで、どうにかガレージから脱出するべく、右往左往する物語です。


◆考察編(鑑賞中、頭に浮かんだ考察……と言うよりは妄想です)


・カナリヤ救世主仮説

カナリヤを籠から出してあげたら、カナリヤが出口を教えてくれる。

・カナリヤ救世主仮説2

カナリヤの入っている籠の中にガレージの換気スイッチが隠してある。

・トーマス少年トラップ仮説

ガスマスクを被ったトーマス少年の存在は、エレナの行動を誘導する罠である。
根拠は、警察官の証言。
警察によれば、今回のエレナと同様の手口で、何人も死者が出ているらしい。
他の被害者が全員、トーマス少年を見付けられずに死んだ、またはトーマス少年のガスマスクを奪わないで座して死を待った、とは考えにくい。
犯人はトーマス少年のガスマスクを奪って生き延びろと唆すが、これは罠で、トーマス少年のガスマスクを奪った場合、死んでしまう。
「他の被害者は最後の最後、利己的だったので死んだ……」とか、ラストで犯人から種明かしがあったりする。
トーマス少年からガスマスクを奪わないまま時間切れになった場合、ガスが充満する直前に、何かしらの仕掛けが働いて、車内にいた場合に限り助かる。
『車の中に救いがある』は、トーマス少年のガスマスクを指すと見せかけ、そのまま、車中に留まれば命は助かる、の意。

・トーマス少年犯人仮説

トーマス少年こそがこの事件の首謀者。
電話の男は犯人ではなく、トーマス少年の操り人形。
稀代の天才にしてサイコパスであるトーマス少年は、まだ若い自分が余命幾ばくもないのに、命を粗末にする人々が許せなかった。
部外秘であろうトーマス少年のカルテが車内に置いてあったのは、犯人がトーマス少年その人だからである。
犯人は被害者の足掻く様子を特等席で見物していたのだ……って、これじゃ完全に『SAW』ですね。

・マイク犯人仮説

マイクが、エレナが心底から裏切っているかどうかを判断する為に監禁した。
危機的状況に陥れたのは、上辺の言葉ではなく、本音を引き出したかったから。


◆真相編

結論から申し上げます、仮説は全て見当外れ、何も仕掛けはありませんでした。
エレナは一度トーマス少年からガスマスクを奪ったものの、最後はトーマス少年にガスマスクを返して死にました。カナリヤちゃんも死にました。

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※カナリヤが死んでしまうなんてかなりやだ

トーマス少年は犯人の息子でした。
犯人の動機は何かと言いますと『息子のトーマスは余命僅かなのに、健康体で命を粗末にする人間は許せない……』って、ジグソウの動機と一緒じゃないですか! しかもそんな大層な事言いながらトーマスの命を危険に晒してどうするの! エレナが土壇場で、子持ち故の自己犠牲精神を発揮したからいいようなものの、普通ならガスマスク奪われて死ぬのが関の山です。

まず、これが何回目のゲームかは知らないですが、今までトーマス少年が生き残っている時点で、被害者全員、すごくいい人なのでは……? いや、トーマス少年の反応からして、エレナ以外はトランクを開けてすらいない可能性がある? トーマス少年は毎度、トランクの中で縛られたまま、被害者が死ぬまで放置だった? それはいくらなんでも他の被害者が案山子過ぎるような気がします。

トーマス少年は『もうこんな事をするのは嫌だ』と言って、銃弾の一発だけ入った拳銃で、犯人である父親を撃ち殺しました。

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※躊躇なく銃をぶっ放します

銃弾は大切に使え……とか意味深に呟いておいて、エレナが取っておいた銃弾で死ぬ犯人……。
もう、どこから突っ込めばいいやらわかりません。

鑑賞後に調べたところ、監督は『SAW』の大ファンなのだとか。
『SAW』『SAW2』は私も大好きな作品です。
しかし本作は残念ながら、あらゆる面で『SAW』には遠く及ばず。
ソリッドシチュエーションスリラーなら無条件で高評価な私も、ちょっとこれはどうか、と思ってしまうような出来となっております。
動機を丸写しにするだけでなく、緊迫感溢れるストーリー展開、伏線を積み重ねた上でのサプライズ演出など『SAW』の面白さの源泉である部分も、しっかり真似てほしかった、です。