インビジブル・ゲスト 悪魔の証明
◆インビジブル・ゲスト 悪魔の証明
評価:良作
点数:75点
ネタバレあり
製作年:2016年
製作国:スペイン
★あらすじ
容疑者と弁護人の話し合いの中で密室殺人事件の謎が明らかになるサスペンス。
不倫相手の殺害容疑で起訴されたドリアの下に、敏腕弁護人が訪ねて来る。
審理が始まる3時間後までに反証の準備をしなければならないふたりは、事件の再検証を開始する。
★一言感想
原題は「CONTRATIEMPO」
本文の全てがネタバレとなっておりますので、未見の方はブラウザバックを推奨いたします。良質のミステリー映画ですので、是非とも、余分な情報なしでお楽しみくださいませ。
無駄の一切ない、完璧な物語に唸らされます。
また、これでもか、と言うくらい伏線が用意してあり、ドリアが近道をしようとして道を外れる場面で、シカ注意の看板が立っているなど、細部にまで今後の展開を暗示する描写が盛り込まれております。
拍手を送りたくなる素晴らしい脚本で、間違いなく面白いのですが、いくつか気になる点がありまして、惜しくも「名作」評価には至りませんでした。
・グッドマン弁護士が敵側であるのがわかりやすい
最後の隠し玉であるはずのグッドマンの正体ですが、伏線が濃密過ぎる弊害として、早期に察しがついてしまいます。明らかに、ドリアがダニエルの死体を沈めた場所の言質を取ろうとしておりますものね。
・密室殺人の真相が期待外れ
蓋を開けてみれば、トリックが何もないのですよね。
密室に死体と一緒に閉じ込められたドリアが、そのまま犯人でしたと言うのは意外性はあるのですが……単に、後先考えない衝動的犯行です。
ドリアとしては、本物のグッドマン含む、有能な後ろ盾の人々が、どうにかして無罪にしてくれると思ったのでしょうか。
・演出が控えめで、盛り上がりに欠ける
演出が控えめで、音楽も印象に残らないため、事件の真相が明らかになっていく場面ですら、いま一つ盛り上がりません。
真相解明はミステリー作品随一の見せ場でありますから、かの名作『SAW』でハローゼップが流れる場面のように、大袈裟なくらい盛り上げてほしかったです。
ガツーンとくるBGMから、伏線ハイライトでバシーンバシーンして、最後はドーン! みたいな(語彙力皆無
瑕疵があるとするなら、それくらいでありましょうか。
ミステリー、それも密室殺人だなんて、あらすじを聞いただけで心躍る、大好きなジャンルですので、どうも注文が多くなってしまいますね。
どうでもいいですが、ドリアって名前を聞くと、どうしても料理を思い浮かべてしまいます。たまには、昔ながらのカフェテリアでシーフードドリアを食べたいと思う今日この頃でした。