ぼんやり考察してみよう

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エベレスト

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◆エベレスト

評価:良作

点数:75点

ネタバレあり

製作年:2015年 製作国:アメリカ

★あらすじ

エベレスト登頂中に起こった実話を元に描くサバイバルアドベンチャー。 ロブが率いるエベレスト登頂ツアーの一行は、順調に登山を続けていた。だが、頂上アタックの日、下山が大幅に遅れた上に嵐で天候が急激に悪化し、彼らは散り散りになってしまう。

★一言感想

本作の題材は1996年のエベレスト遭難事故であり、その関係者の名前も、生死も、事の顛末も、すべてがそのまま映画となっております。

私は、本編がここまで現実に発生した遭難事故に忠実であると思わなかったため、鑑賞後に調べて、この『エベレスト』で描かれたエピソードの数々が実話だと知り、少なからず衝撃を受けました。

いえ、親切にも本編の冒頭で「真実に基づいた物語である」との一文があるのですが、実話を標榜しながら、実際は大部分がフィクションの作品も多いので、あまり真に受けておりませんでした。 過去にも二度にわたり映画になっている、有名な遭難事故のようです。

最高峰に挑む人々、それぞれに登頂の理由があり、家族がおります。「平凡な人間でも何かを為せると示したい」「このエベレストを制すれば七大陸最高峰を制覇できる」「結婚記念日を失念していた、衛星電話を貸してくれ」「いつの日か、俺と君と娘で、一緒に山に登ろう」……さながら死亡フラグ万国博覧会と化したベースキャンプですが、すべては現実の出来事であると思うと、いたたまれなくなります。

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※所狭しとテントがひしめくベースキャンプ。過剰な混雑も事故の原因です

史実を知らない故「積み上げた死亡フラグなぞ全部蹴散らして、ロブ生還してくれ……妻と娘を置いていかないで……」と思いながら見ておりましたが、切ない結末でありました。ロブとの最期の会話となってしまった無線通信、妻であるジャンの心情を思うとあまりにも辛い。エンドロールに流れる、サラ嬢の笑顔が救いであります。

尚、ラストで、ロブは今もエベレストに眠っている……とありますが、2010年、ネパールのシェルパたちにより行われた清掃登山により、デスゾーンに取り残されていたロブの遺体は、スコットと共に収容されたようです。

実話ベースなので、脚本については語るべくもありますまい。極力CGを排したと言う映像は美しく、迫力があり、映画としての完成度は高いです。