ぼんやり考察してみよう

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キル・オア・ダイ 究極のデスゲーム

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◆キル・オア・ダイ 究極のデスゲーム

評価:普通

点数:70点

ネタバレあり

製作年:2016年 製作国:ロシア

★あらすじ

人狼」の元となったゲームで頭脳バトルを繰り広げるSFサスペンス・アクション。 2072年。ロシアでは「マフィア」というゲームをリアルタイムで放送する番組が絶大な人気を誇っていた。 勝利すると賞金10億ドル、しかし懸けるものは自らの命で……。

★一言感想

今日の映画は「キル・オア・ダイ 究極のデスゲーム」です。 原題は「MAFIA

近未来、2072年のロシア、モスクワを舞台に、11人のメンバーが、市民とマフィアに分かれて、命を賭けたゲームを行う物語です。 夜の道路をバイクが疾走するオープニングシーン、機械と生物が融合したようなゲーム会場のデザインは、スタイリッシュで格好いいです。

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※近未来感溢れるオープニング

ゲーム内容は、日本では『人狼BBS』などでお馴染みの人狼ゲームです。村人を市民、人狼をマフィアと言い換えた、少人数11人村、と言ったところでしょうか。 あらすじを見るに、この『マフィア』と言うゲームが、人狼ゲームの原型になったようです。

本作では、人狼ゲームでは定番の役職である「占い師」「霊能者」「狩人」などは登場しません。 小細工一切なし、市民とマフィアの真っ向勝負です。 役職がいない代わりに、ゲームマスターが霊能者の役目を担っており、投票による処刑、マフィアによる襲撃が発生した後で、退場した人物が市民であったのかマフィアであったのかを発表するシステムになっております。

人狼ゲームにおける役職が不在では、駆け引きの余地がなく、単なる言い掛かり合戦になりかねないのでは……と思ってしまいますが、その通りです。 あらすじでは、頭脳バトルを繰り広げる……と書いてありますが、頭脳バトルは繰り広げられません。 それどころか、ラストあたりは、心の内にある『恐怖』が、巨大な怪物の姿となって襲い掛かってきたりして、さながらテレビゲームの様相を呈してきます。 恐怖が具現化した怪物、だなんて、ファイナルファンタジーⅧのグリーヴァを思い出しますね。

投票、襲撃で脱落した人間は、仮想空間のような場所に飛び、参加者それぞれが抱える『恐怖』に応じた死が与えられます。ダンガンロンパで言うところの『おしおきシーン』でありますが、そのおしおきシーンがやたら長いです。 おしおきシーンに長々尺を割いて、派手な演出をするよりは、登場人物同士の、マフィア探しの議論をもう少し濃いものにしてほしかったですね。

以下は、私が本編を視聴しながらメモに残した考察です。

ピョートル処刑の後の投票、ウラジミールかラリーサの二択という空気になっているのはまったく意味がわかりません。 そこは前の投票で何の根拠もなくピョートルに投票を誘導したコンスタンティンを疑う場面ではないでしょうかね。 と言うのも、もしコンスタンティンが市民であるなら、ピョートルをマフィアとして告発する利点は無いのですよね。

コンスタンティン市民として、ピョートル市民なら出鱈目を言って自陣営を不利にしているだけであり、ピョートルマフィアなら『予言』の力が本物だと思われるため、マフィアに襲撃を受けて次回の脱落が確定します。 よって、コンスタンティンのピョートルに対する告発は『コンスタンティンがマフィアであり、ピョートルが市民であると知っていた』と仮定しないと成立しません。 そのあたりが議論の俎上にも載らず、言い掛かりにすらなっていない理由でウラジミールが死ぬのはなんなんでしょう。

市民に最初に票を誘導したのは誰か? その理由は正当なものか? 或いは、市民に決定票を入れたのは誰か? そういう観点からの考察がまるでないのは参加者全員、何を考えているんだ? と思います。 ついでにコンスタンティンは、マリアに決定票を投じるタイミングも何かおかしいんですよね。本人がマフィアだから、ピョートルの『僕がマフィアだ』との告白がマリアを庇うための茶番だと確信しており、探る必要すらなかったのでは? 当たっているかはわかりませんが、私が参加者ならコンスタンティン処刑一択ですね。

……と思っていたら、やはりコンスタンティンがマフィア。まあそうですよね。このあたりは視聴者が気付くのも織り込み済みなのでしょうか?

コンスタンティンマフィアが判明したので、一時停止して推理タイム。もう一人も見抜いて完全正解を狙います。 まず、ラリーサ退場の直後、コンスタンティンが露骨に票を誘導しているイヴァンは市民でしょう。 一応は仲間切りもあり得ますが、以前、ピョートルにマフィアでなければメリット皆無の告発をしているコンスタンティンがそこまで考えているか? と言われたら疑問です。 イヴァンがイリヤから票を動かしていないのは若干気になりますが、最後の最後まで『コンスタンティンはマフィアじゃない』と主張するのは、コンスタンティンがマフィアだと判明してから死にかねません。 それにコンスタンティン&イヴァンペアであるなら、コンスタンティンがイヴァンを切り捨て、単独で生還しようとしているのに、イヴァンが徹底して庇うのは作戦として中途半端です。脱落=死亡であるこのゲームでの言動としても相応しくないでしょう。

コンスタンティンが説得するような語りかけをしているカーチャもマフィアからは遠いでしょうか。コンスタンティンのイヴァン投票に異議を唱え、返す刀で疑惑を向けたキリルも市民に見えます。 コンスタンティンへ疑惑が向く中、カーチャ、キリルの繋がりを指摘して、話を逸らそうとしているイリヤは普通に怪しいですね。 ただ、イリヤはピョートルかコンスタンティンに投票する場面で、コンスタンティンに三票目を入れているのですよね。一度切っておいてから庇いにいくのは、一貫性ない気はします。

ルカの爺さんは『ゲームだから面白い展開にしないとな』とか言っておりますが、ルカ爺さん……今回マフィアに投票できなかったら市民の敗北が確定してしまうのですが、危機意識がまるでないですね……。 決選投票で鞍替えしたのも主体性がないです。コンスタンティンの相棒としては、ルカ爺さんが一番妥当なところでしょうか。次点でイリヤ

……メモはここで終わっている……

はい、本編を視聴済の方はご承知の通り、見事に予想を外しております。こんな有様だから、人狼BBSに参加しても大事な処で推理を外すのです。 しかし、イリヤかルカか、作中では、最後のマフィアを特定するまでの情報は出ていなかったと思いますので、仕方がないところもありましょう(言い訳) もし作中でのネタバレ以前に、最後のマフィアの手がかりとなり得る情報がありましたら、コメント欄にてお伝えください。

筆者は元々、人狼ゲームが好きなもので、諸々の突っ込みどころに目を瞑りつつ、マフィアは誰かなー、などと考えたりして楽しめましたが、人狼? 何それ? と言う方は、あまり楽しめないかもしれません。