ぼんやり考察してみよう

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グラウンド・デス

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◆グラウンド・デス

評価:普通

点数:50点

ネタバレなし

製作年:2018年
製作国:デンマーク

★あらすじ
コペンハーゲン地下鉄の一大プロジェクトのPRコーディネーターであるリーは、トンネル工事の圧気作業の取材に訪れていた。リーは、ベテラン作業員のイーヴォと、国に妻子を残して出稼ぎに来ているバランに案内され、地下20メートルもの深さにある気圧作業室へと入る。作業室は数人でいっぱいになるほど狭い空間だった。リーが取材を進める中、トンネル内で火災事故が発生。彼女たちは作業室に閉じ込められてしまう……。

★一言感想
原題は「CUTTERHEAD」
トンネル掘削用シールドマシン、その先端の、回転部分を指す言葉であります。
シールドマシンは細かな凹凸のついたカッターヘッドを回転させながら前進、おろし金で大根をすりおろすようにして、トンネルを掘り進めていくわけですね。

あらすじにあります通り、トンネル内で発生した火災事故により、カッターヘッドそばの作業室に閉じ込められてしまった三人の物語です。

いつ助けが来るのか、そもそも助けが本当に来るのかもわからないまま、しかし確実に酸素は尽きていく……そんな極限状況が、否が応にも緊張感を高めます。

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リアル、と言えばそうなのでしょうか、閉じ込められた三人は三人とも、自己中心的な振舞いが目立ちます。

愛する娘のため、あわよくば自分だけは生き残ろうとするリー、主導権を握り、事ある毎に場を操縦しようとするイーヴォ、閉じ込められた苛々で、床を叩いて金属音を立てるバラン……現実にもこんな人たち、いそうでありますよね。

とかく極限状況は、人間の良い面も悪い面も浮き彫りにするものですが、本作では悪い面がしっかり描かれておりまして、作品全体に漂う閉塞感を強調する結果となっております。

ラストも、めでたしめでたし、とはいかない、すっきりしない幕引きでありますが、そこもまた、本作の味と言えますでしょう。