ぼんやり考察してみよう

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7WISH セブン・ウィッシュ

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◆7WISH セブン・ウィッシュ

評価:良作

点数:60点

ネタバレあり

製作年:2017年
製作国:アメリカ/カナダ

★あらすじ
願いを叶える呪いのオルゴールが悲劇を招くティーンエイジホラー。
クラスの人気者・ダーシーにいじめられているクレア。父親が見つけた古いオルゴールにダーシーの不幸を願うと、それは現実となるが、同時にクレアの愛犬が死体となって見つかり……。

★一言感想
原題は「WISH UPON」

「さあ、願いを言え、どんな願いも七つだけ叶えてやろう……」な呪いのオルゴールが悲劇を巻き起こす、王道ホラーであります。ナメック星のポルンガでも叶えられる願いは三つなのに、七つって言ったら随分太っ腹な気がしますが、そこは古代中国から伝わる呪いのアイテム、いくつもの制約がありまして、簡単には思い通りにはなりません。


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1.願いを叶える度に『血の代償』が必要
何かを願う度に、近しい者が生贄として命を奪われます。
「ダーシー・チャップマンが腐ってしまいますように!」なんて、割とマジでどうでもいい願いで死んでしまったわんこのマックスがかわいそうでした。それにしてもクレアさん、どうでもいい願いにオルゴールを使い過ぎであります。切実なの、最後の二つくらいじゃないですか。

2.オルゴールの所有権を手放したら、叶えた願いは全て失われる
地味にこれが痛いです。誰かに盗まれても駄目なので、オルゴールは金庫か何かにしまって、常に監視下に置いておくしかないでしょう。幸い? にも、オルゴールは呪いのアイテムらしく、燃やしても燃え尽きず、ハンマーで叩き潰しても無傷という、無敵の耐久性能を有しておりますので、壊れてしまう心配だけはありません。スマートフォンの液晶とかパソコンのHDDもこのくらいの耐久性能がほしい、です。

3.七つの願いを叶えたその時、所有者の魂が奪われる
上限である七つ全ての願いを叶えたその時、所有者自身に『血の代償』が降りかかります。折角願いを叶えられても、死んでしまっては意味がありません。命あっての物種です。

つまり、この呪いのオルゴールを最善の形で運用する為には『血の代償』がかけがえのない人に降り注がないのを祈りつつ、願いを吟味して七つ未満で止め、オルゴールを誰にも奪われない場所に隠し続けなければなりません。勿論、オルゴールの事は他言無用です。うーん、難しい。リスクとリターンを考えたら、使う価値があるかどうかは微妙なところでありましょう。

もし私が使ってしまったら、疑心暗鬼の果てに心を病んで「オルゴールを奪うの!?」とかなんとか叫びながら発狂死という顛末になりそうです。流石に呪いのアイテムだけあって、上手く使いこなして幸せになる未来があまり想像できませんね。

本作では、クレアの願いにより、過去の出来事が書き換えられたりもします。その中で、多元宇宙論とか並行世界とか、SFめいた単語が出て来るのですが、もしかしたらクレアは、オルゴールの魔力を通して、あったかもしれない可能性の世界、その一つを選択しているのかもしれません。こういった、ifの世界の描写って私の好みなので、もっと掘り下げられていたら面白そうとは思いつつ、それをしたら映画『バタフライ・エフェクト』ゲーム『ライフ・イズ・ストレンジ』あたりと被っちゃいますか。

一見平凡なティーンズホラーなのですが、非常に丁寧に作られておりまして、一切無駄のない物語構成は特筆に値いたします。オリジナルのエンディングテーマも、雰囲気があって良かったです。