ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

タコゲーム

◆タコゲーム

評価:普通

点数:60点

ネタバレあり

製作年:2022年
製作国:アメリ

★あらすじ
欲にまみれた男女が8つの“死のゲーム”に挑むサバイバルスリラー。売れない歌手・キャリーは、インフルエンサー・ジャックスプロ主催のゲーム大会に参加することに。集まった8人の参加者は昔ながらの単純なゲームを始めるが……。

★一言感想
まーた有名作品の便乗邦題を……
と思いながら原題を見ましたら、原題はなんと「THE OCTOGAMES」

…………訂正いたします。便乗邦題ではなく、便乗映画でした。
ある意味もっと性質が悪いとも言えます

とりあえず、筆者は本家であるイカゲームは全話履修済となっております。
となれば、このイカれたタコゲームも、見ないわけにはいきますまい。



本家イカゲームでは主催者の正体は終盤まで謎に包まれていましたが、このタコゲームでは主催者は最初から判明しています。主催は、SNSで多数のフォロワーを擁するインフルエンサー、ジャックスプロ。でもって、商品はそのアカウント。

イカゲームが優勝の報酬は賞金というわかりやすい設定なのに比べて、タコゲームでは商品がフォロワー付アカウントで、少々わかりにくいです。アカウントの為に命を賭けるのも、リスクが大き過ぎるように思います。偽りのお金配り企画などでフォロワーを増やしたツイッターアカウントを業者に売却するというお小遣い稼ぎの手口もあるようですので、youtubetwitterあたりの収益化済アカウントは、金のなる木ではあるのでしょうが……。

そもそもデスゲームの果てにアカウントを手に入れたところで、元々の利用者であるジャックスプロが犯罪行為に関わった為に捜査が必要であるとか、弊社の利用規約に違反したからとか、そうした理由で、良くてアカウント凍結、悪くてアカウントBANあたりになりそうなのですよね。特定の企業の管理下にあるわけではない、P2Pやそれに準じる匿名性の高いSNSサービスならば、凍結やBANなどもないのかもしれませんが、そうすると今度は広く門戸が開かれていない為、収益化が難しくなります。



このタコゲーム、原題から似せているだけあり、随所でイカゲームを意識しています。ゲームがすべて本家と同じく子供の遊びなのは勿論のこと、敗北者は処刑、進行役の衣装、主催者組の不協和音、等々、ここまで似せるかという似せ具合で、いっそ清々しいくらいであります。また、イカゲームが連続ドラマなのに対して、タコゲームは一時間半ほどの映画ですが、この時間圧縮についても、物語展開を早めて密度を濃くする効果があり、作品の質の向上に寄与しています。

それでもやっぱり、便乗作品の限界と申しますか、物語面、演出面でどうしても本家には劣ってしまう為に、総合すると「劣化イカゲーム」の印象は免れません。本家イカゲームの主催者はゲームを行うことで何がしたかったかがなんとなくわかるのですが、イカゲームの主催者ジャックスプロは微妙にゲームを行う動機がわかりにくかったりします。7番目のゲームで不正解のペナルティとして電気ショックを受ける場面なども、演出が貧弱なせいで、芸能人が番組の罰ゲームで電流ビリビリをくらって「痛い!」と叫んで飛び上がり、お尻を押さえているようなゆるい雰囲気で、とても命が賭かっているとは思えないです。ベタですが、電極と肌の接する箇所に火傷を負わせるとか、煙を出すとか、そうした演出があればもう少し緊迫感が出たかもしれません。8番目、肝心要のラストゲームの勝敗にしても、どうしてそうなったのかが説明不足なので、爽快感がありませぬ。

そんなこんなで、物語と演出が今少し丁寧に作られていれば面白くなったかな、と思う作品でありました。

余談ではありますが、優勝賞品であるアカウントにログインするパスワードはひどいと思いまする。厳しいデスゲームを勝ち抜いてそれかーい。