ぼんやり考察してみよう

日々考えたこと、映画感想、評価などを記しておくブログです。WPから移転しました。

デス・ホール

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◆デス・ホール

評価:駄作

点数:40点

ネタバレあり

製作年:2016年 製作国:アメリカ

★あらすじ
無人の荒野に取り残された女性に死の恐怖が迫りくるシチュエーションスリラー。
エミリアは砂漠のど真ん中に止められた車の助手席に縛られていた。後部座席には冷たくなって横たわる彼女の恋人。
そして、外では謎の人物が墓穴を掘り続けていた……。

★一言感想
原題は「VALLEY OF DITCHES」

これはひどい……。
全編ネタバレしても全く以って惜しくない物語ですので、要約してしまいます。

エミリアは過剰に束縛する父親に嫌気が差して、恋人の車でカリフォルニアに向かいます。
その道中で、神がどうとか言う、とち狂った謎の男に捕まり、恋人はスコップで刺殺、エミリアは恋人の死体の足首と、自身の足首を手錠で繋がれ、荒野のど真ん中にある穴に放り込まれます。
精神的に追い詰められ、死んだはずの恋人の声が聴こえたり、深夜に野犬の襲撃を受けたりしますが、エミリアは執念で恋人の足を噛み千切り、手錠を外して脱出、謎の男の魔の手から逃げ延びます。
それから暫く経ったある日……エミリアは謎の男の妻を刺殺して、帰宅した謎の男も刺殺。理不尽な責め苦への復讐を果たすのでした。

本作、ひどいと思った点がいくつもあるのですが、順番に語っていきましょう。

1. 無駄が多い

物語はエミリアが車内で縛られており、バックミラー越しに謎の男が墓穴を掘っている場面から始まるのですが、エミリアが一度車内から脱出して荒野を逃走、謎の男がそれを捕まえて、意味のわからない理屈を長々語り、エミリアが命乞いをする……そこまでで、30分くらい尺を使います。
それからいよいよ、エミリアは恋人の死体と共に穴に放り込まれるわけですが、はっきり言って、前半30分は丸々いらないです。描写するにしても、5分で十分な内容です。

2. 敵役である謎の男は、素性も動機も不明

貴重な時間を使い、散々妄言を垂れ流してまでキャラを立てた謎の男ですが、彼が何者で、何故エミリアの恋人を殺して、エミリアを穴に放り込んだのか、まったくわかりません。ついでに、穴を掘ってその中に放り込んでおいて、埋めないでその場を立ち去る理由もわかりません。

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※そもそも何言ってるのだか理解不能です

3. 演出が貧相

深夜に野犬の襲撃を受けたり……と書きましたが、野犬の襲撃シーンでは、犬は画面に一切登場しません。 声の出演:野犬 であって、犬の鳴き声が響く中、エミリアの一人芝居です。

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※映るのはこぼれ落ちる砂粒とエミリアの表情のみ。後は犬の鳴き声でお察しあれ

他に、恋人がスコップで殺られてしまうシーンにしても、人物越しに背景にスコップを突き刺すだけという、脱力ものの描写です。

個人的には、敵役が何がしたいかわからなくても、低予算で露骨に演出がしょぼくても、ストーリーが面白く、テンポが良ければすべてを帳消しにして楽しめるのですが、本作は正反対なので、どうしても酷評になってしまいます。

到底褒めるところが見つからない、残念な作品でありました。