デッド・クリフ
◆デッド・クリフ
評価:良作
点数:55点
ネタバレあり
製作年:2009年 製作国:フランス
★あらすじ
アルプスとピレネー山脈でオールロケを敢行したクライミング・スリラー。 登山をするためクロアチアの大自然の中にやって来た5人の若者たち。 彼らが目指す山には立ち入り禁止の看板が掲げてあったが、登山経験豊富なフレッドはそれを無視してしまう……。
★一言感想
断崖絶壁の山脈を舞台とした、フランス映画らしからぬ直球ホラー。
5人という少人数の登山メンバー中に、ヒロインであるクロエちゃんの元カレのギョームと、今カレのルイックがおりまして、当然2人の間には、非常に気まずい空気が漂うわけなのですが……この今カレ、ルイックがヘタレを絵に描いたようなキャラクターであり、いい味を出しています。
いやまあ、クライミングとか、一本橋渡りとかで、びくびくのろのろして女の子に励まされたりしているのは良しとしましょう。 実際、見ている私としても、後半、人間狩りの密猟者ことアントンが襲ってくるあたりよりも、前半のクライミングシーンが一番怖かったくらいですし。
ただ、アントンのアジトで、元カレにたいまつを取りに行かせた挙句「俺がたいまつを持つんだー、たいまつを渡せよー」と迫り、渋る元カレを不意打ち気味に殴り倒したり、あまつさえ、目の前で襲われているクロエを見捨てて1人で逃げ出すのは流石に擁護できないですね……。 ここまで来ると、ただのヘタレでは済みません。このあまりにあまりな所業により、彼はヘタレからクズにクラスチェンジしてしまいました。
クロエが何故元カレと別れたのかは作中では語られていないのですが、どちらかと言えば元カレの方が野性味があって頼りになる、いい男ですよね。 最後、今までの腹いせのように今カレを崖の下にポイ捨てした点については少し男を下げましたが、一応は助けようとはしていますし、何より、クロエを全力で守る姿勢を見せている分、今カレよりは全然マシでありましょう。
自然の恐怖と人間の恐怖、両方同時に味わえる、一粒で二度おいしいホラーでありました。
PS エンドロールは、背景にアントンのアジトが流れる少し凝った作りになっており、鑑賞後の余韻を盛り上げてくれます。