ぼんやり考察してみよう

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パッセージ 牙剥く森

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◆パッセージ 牙剥く森

評価:微妙

点数:50点

ネタバレあり

製作年:2015年 製作国:オーストラリア

★あらすじ

幽霊伝説のある森に迷い込んだ若者に襲い掛かる恐怖を描いたシチュエーションホラー。 オスカーたち5人の若者は、バイカーの幽霊が現れるという伝説の残る森へ向かう。 そこで彼らは不可解な現象に遭遇し、やがて驚愕の真実が明らかになる。

★一言感想

今日の映画は「パッセージ 牙剥く森」です。 副題では森が牙を剥いておりますが、原題は「LEMON TREE PASSAGE」であり、別に森は牙を剥いたりはしないです。恨みを持つ幽霊が人に祟りをなす、心霊系のホラーですね。 原題のままだとタイトルを見ても内容が伝わらないぞ!ということで、適当に副題をつけたのでしょうか。 私が副題をつけるなら『亡霊の棲む森』とかにします。

アメリカから旅行に来たマヤたち三名は、オーストラリアの海岸でのんびりしていたところ、砂浜でペニスのオブジェを作っているチャラ男コンビに「クリケットしない?」と誘われて、一緒に遊ぶことになります。 そして、夜は焚き火を囲んで怪談大会、と洒落込みます。日本でもよくあるシチュエーション、と言えましょう。何処の国も、やっていることは代わり映えしないものですね。

アメリカにも定番の怪談、都市伝説ってありますよね。私が知っているのでは『ブラッディ・メアリー』とか『ベッドの下の斧男』とか……。マヤの友達のアメリアも、どこかで一度は聞いたことのあるような怪談を話します。

アメリアの怪談話を聞いて、チャラ男コンビの太っている方ことオスカーは「ふふふ、そんな手垢のついたネタじゃあなく、本物を話してやろう……」と、稲川淳二を思わせる身振り手振りで、情感を込めて語り始めます。

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稲川淳二の怪談ナイトよろしく語り始めるオスカー

オスカーの話によれば、レモンツリーパッセージには、スピード違反の車に撥ねられて死んだバイカーの亡霊が出るそうです。スピード違反の車が森を通ると、後方に青白い光が姿を現すのだとか。 何、嘘だと思うなら、これから試してみればいい……と、そんなオスカーの口車に乗る形で、彼らはレモンツリーパッセージへ。オスカーの語ったバイカーの亡霊の噂、その真偽を確かめるべく、アクセル全開で森を駆け抜けます。 するとどうでしょう、怪談の通り、車の後方に青白い光が……ひゃっほう!俺の言った通りだっただろ!と、どや顔のオスカー、盛り上がる車内。いや、怖がろうよ君たち。

青白い光を目撃して盛り上がった彼らは、よせばいいのに翌日の夜、またしてもバイカーの亡霊と邂逅すべく、レモンツリーパッセージに向かいます。 『いやー、マヤも光が見えなかったとか言ってたし、もう一度! 今回は青白い光の目撃地点にオスカーを立たせておいて、実況中継もしてもらおうぜ!』 なんという罰当たり、こりゃ呪われても文句は言えませんねえ。オリジナルDVDとしてレンタルショップに並んでいる胡散臭い心霊番組でも、ここまで幽霊を冒涜する真似はしないでしょう。

亡霊も流石に怒り心頭なのでしょうか、手始めに青白い光の隣にいたオスカーの霊圧が消え、間もなくトランクルームで死体となって発見されます。

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※トランクの中からこんばんは

緊急事態発生に慌てふためきつつ、チャラ男コンビのイケメン、ジョーディは車のエンジンをかけようとしますが、当然エンジンはかかりません。様式美と言うやつです。 怪現象が続発する中、森に閉じ込められてしまった彼らの運命はいかに?と、そんな物語であります。

物語の後半で、バイカーの亡霊は、実は作り話であり、レモンツリーパッセージで辱められた挙句に殺害されたブリアナという少女がおり、彼女こそがこの森に潜む亡霊であることが明らかになります。マヤはブリアナの亡霊に憑りつかれて、彼女の記憶を追体験したことで真実を知るわけですね。

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※ブリアナの亡霊が持ってきたのか、何故か見つかる新聞記事の切れ端

そして、彼女を殺した犯人の一人こそ、ジョーディの兄、サムだったのでありました。 マヤに憑りついたブリアナに詰め寄られたサムは罪を認め、もはやこれまでとばかり、拳銃で自殺するのでした。

冷静に振り返ってみれば、オスカーはともかく、他は巻き添えもいいところですね。特に、マヤの友達の双子の兄妹なんて、何の罪も犯していないのにも関わらず、靴を取ったら丸太が落ちて首が絞まるジグソウが喜びそうなトラップで殺されたり、木に縛られたところを車で突っ込まれたり、サムより悲惨な死に様です。 チャラ男コンビと絡んで悪ノリしたのが運の尽き、だったのでしょうか。

亡霊に理屈は通じませんが、サムだけ殺せばよかったのでは?と思わずにはいられません。

そんなわけで、ブリアナの亡霊が何をしたかったのかもわかりにくく、全体を通して地味で、見所のない作品でありました。 微妙の50点ですが、それでも少し点数高いかも?と思ってしまいます。

ちなみにこの作品、R15指定となっているのですが、本編に特別過激なゴアシーンがあるわけではないです。 ブリアナさんが男どもに襲われる場面があるので、そのせいでレーティングが上がったのだと思われます。その場面にしても、ほんの一瞬バストが露わになるくらいのものです。描写よりも行為が問題になったのでしょうね。