ぼんやり考察してみよう

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パラサイト 半地下の家族

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◆パラサイト 半地下の家族

評価:名作

点数:40点

ネタバレあり

製作年:2019年
製作国:韓国

★あらすじ
アカデミー賞作品賞ほか4部門に輝く、『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督作。半地下住宅で暮らす貧しいキム一家の長男・ギウは、IT企業の社長・パク一家の娘の家庭教師をすることに。これを機に、キム一家は徐々にパク一家に“パラサイト”していく。

★一言感想
原題は「기생충(寄生虫)」
例によって例の如く、予告編含め、事前情報一切なしでの視聴であります。
情報を遮断しつつも、方々から漏れ聞こえてくる評判に接しまして、格差問題に焦点を当てる社会派作品かな、と思っていたのですが、意外や意外、純度100%のエンタメでありました。エンタメの枠の中に社会問題を落とし込んでいる、と言うべきでありましょうか、これこそ映画のあるべき姿、ですね。

後半、パク家での騒動などは、エンタメを通り越して、もはやドタバタコメディの域に突入しております。朝鮮中央テレビの物真似は流石に笑ってしまいました。似てる

ジャンルも何、と一つには定めきれず、ドラマでありホラーでありサスペンスでありコメディでもあります。敬意を込めて、全部のタグをつけさせていただきました。色々な要素が詰まっておりますね。

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お抱え運転手さんは失脚させられただけなのでそこまででもないですが、家政婦さんは桃アレルギーという弱点を的確に攻められてかわいそう……と思っていましたら、後半更にかわいそうになりました。救いは、ないんですか。ある意味登場人物全員かわいそうではありますが、しかし本作最大の被害者は、何の罪もないのに悲惨な目に遭ったダソンでありましょう。

それにしましても、学歴詐称に端を発し、嘘に嘘を重ねながら家に潜り込んでしまうのはすごいですね。パラサイト、とは正に言い得て妙であります。早々に嘘がばれないのかな、ばれてしまった時が怖いな、と思ってしまいますが、某都知事もあからさまな学歴詐称をして尚トップ当選を果たしたりもしますし、世の中そんなものなのでしょう。

半地下の家族、と言いますか、嘘だらけの嘘つき家族ではありますが、その背景には、嘘をつかねば生きてはいけぬ、という社会の病理も透けて見えます。地下で長い間潜伏する様子は、江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』を思い出したりも。

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そうそう、チュニ、ベリー、ププの中では、チュニが好きですね(どうでもいい)
ダヘのベッドの下に潜り込んでいる姿もキュートです。

最初に書きましたようにエンタメに振っているため、息をもつかせぬ展開に、次はどうなる、と続きが気になりまして、長めの上映時間も楽しく過ごせたのでした。
話題になるだけはあります、骨太な娯楽作品でありました。