ぼんやり考察してみよう

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すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

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◆すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

評価:良作

点数:50点

ネタバレなし

製作年:2019年
製作国:日本

★あらすじ
サンエックスの人気キャラクターを劇場アニメ化したほっこりストーリー。ある日、「喫茶すみっコ」の地下室で1冊の飛び出す絵本を見つけたすみっコたち。絵本を眺めていると、突然仕掛けが動き出し、すみっコたちは絵本の中に吸い込まれてしまう。

★一言感想
すみっコぐらし……その存在は知ってはおりましたが、映画作品になるのか、できるのか、から、まず疑問ではありました。例えるならば『劇場版リラックマと銘打たれましても、どんな筋書きの物語になるやらまったく想像がつかない、そんな感じであります。

さてさて、この映画『すみっコぐらし』は、果たしてどういった作品に仕上がっているのでしょうか、期待と不安を胸に視聴開始です。

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本作では、ナレーションが実況と解説を行い、すみっコたちの台詞は字幕で表現する形を取っているのですが、これはとてもよい演出と言えるでしょう。すみっコたちが直接台詞を喋ってしまったら、すみっコぐらしの世界観が壊れてしまうような気もしますものね。 個人的に、ポケモンのアニメなどで、ポケモンの鳴き声までも人間が演じるのが不自然で違和感がある、というのもあります。何も「ダネダネ~」とか言わないでも……と思ってしまうのですよね。

ストーリー、なのですが……ぶっちゃけてしまいますと、もはやあってないようなものではあります。大人の目線で見ましたら、絵本の中、昔話の世界を行き来する中盤までは「これは一体なんなんだ……何をしようとしているんだ……」と、困惑するかと思われます。

ただ、ですね、すみっコたちの一挙手一投足がいちいちかわいいのですね。その抜群の癒し効果でもって、なんかよくわからない展開もほっこりした気持ちで、そこそこ楽しく鑑賞できるのですから、すみっコたちの愛らしさたるや相当なものであります。すみっコたちが絵本の中の世界でそれぞれ昔話のキャラクターに扮するのは、リラックマコリラックマがコスプレをしているのを思い出しまして、いかにもサンエックスらしい演出だな、と思いました。

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何が何だかわからない程にまとまりを欠いていたストーリーは、ゲストキャラである灰色のひよこを主軸に据え、終盤になって一気に収束します。混沌の中から生まれる一つの秩序、とでも申しましょうか、崩壊する絵本と共に暴走する物語を、半ば強引に、しかし綺麗にまとめてしまうのはなかなかの手腕と言ってもよいでしょう。

「ひみつのコ」であるひよこの正体につきましても、ちょっと意外ではあります。ま、まさかひよこの正体が……なんとも物悲しい運命、と嘆きつつ、そういう事なら救済策は……と予想がつくのもよいですね。

ターゲット層であろう子供はもとより、心がかさついてしまった大人にも潤いを与えてくれる作品、なのかもしれません。優しい世界に、暖かい物語のハーモニーが響く、高純度の癒し系映画でありました。

エンドロールで描かれる、すみっコたちとひよこのその後にもほっこりしますので、是非是非、エンドロールは飛ばさずご覧くださいませ。