ぼんやり考察してみよう

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ザ・キャビン 監禁デスゲーム

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◆ザ・キャビン 監禁デスゲーム

評価:微妙

点数:70点

ネタバレあり

製作年:2020年
製作国:イタリア

★あらすじ
監禁された男たちが友人の死の真相をめぐり、命懸けの駆け引きを繰り広げるサスペンススリラー。雪に囲まれたロッジで目覚めた4人の男たち。室内には7年前に死んだ彼らの友人・アレッサンドロの死の真相を明かさなければ全員殺すというメモがあり……。

★一言感想
原題は「WEEKEND」

副題の『監禁デスゲーム』は看板に偽りあり、でしょうか。
ロッジは雪に阻まれているとはいえ出入り自由ですので『監禁』と言うには弱く、アレッサンドロの死の真相を暴けと迫る謎のメッセージに4人は互いに面罵を繰り返すものの『デスゲーム』と言うにも弱い。少々的を外した邦題ではありますが、何せ原題が地味なので、興味を持たれるようテコ入れをしたかったのでしょう。

原題通り(?)本編も地味でありまして、雪深いロッジで男4人がギスギスしたとて、今一つ華がありません。イケメン枠のアレッサンドロが7年前に退場済なのも痛いところです。

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ミステリではお馴染み『吹雪の山荘』ロケーションで、アレッサンドロを殺した犯人は誰か、を追求していく――設定だけ見れば魅力に溢れた王道サスペンスなのですが、実際鑑賞しますと、どうにもこうにも面白くありません。

原因を分析するに、脚本が弱い、これに尽きますでしょう。こうしたワンシチュエーション・スリラーは脚本の地力が勝負を決めますので、脚本の力の無さがそのまま作品の質の低さに繋がってしまっています。

物語はロッジに缶詰になってしまった4人を描写する“現在パート”にアレッサンドロのいた7年前を描写する“過去パート”が度々挟まってくる構成になっているのですが、そこまでするほどの仕掛けがあるわけではないため、単にまどろっこしいだけとなってしまっていたり、あらすじで『命懸けの駆け引きを繰り広げる』とあるものの、駆け引きらしい駆け引きは皆無だったり……設定に脚本が追いつかなかった印象を受けました。

結末に向けて何かしら犯人を示す伏線を張っておく、推理考察を行わせ犯人捜しの議論に厚みを持たせる、拳銃を巡る攻防戦を描写する、などすれば、より面白くなった事でしょう。少々勿体ない作品であります。

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全員がアレッサンドロを殺す動機がある(ように見える)4人ですが、最後まで鑑賞しますと、彼らはどうして友達をやっていたのだろう、と思わずにはいられませぬ。