リアル人狼ゲーム

◆リアル人狼ゲーム

評価：良作

点数：25点

ネタバレあり

製作年：2013年
製作国：日本

★あらすじ
恐怖の殺人ゲームに巻き込まれた男女を描いたホラー。拉致され、とある施設に集められた8人の男女。すると館内放送が一方的に「人狼ゲーム」の説明を始める。「まず狼が村人を食い殺します」と言うと照明が落ち、再び明るくなると隆介が息絶えていた。

★一言感想
集められた８人が、命懸けの人狼ゲームに挑むシチュエーション・スリラーです。
人狼は誰なのかを推理して、メモを取りながら本編を視聴しましたので、その記録を感想に代えさせていただきます。

◆人狼ゲーム導入

最初に、主催者からルール説明があります。
配役は、村人4、人狼2、占い師1、騎士1の8人村。
ルール説明以前に、初日犠牲者にあたる人物が死亡、退場しておりますが、役欠けの有無は不明。

まず、役について説明を求めた高校生、直子はメタ白。人狼の策の可能性は残りますが、先陣を切って策を弄する性格には見えません。作中で、地下アイドルのエナを轢き逃げした犯人が人狼の配役になっているのでは、との推理が出ましたが、その推理を真としても車を運転できない年齢の直子は白になります。ここまでの情報だけでも、直子は暫定白としてよいでしょう。

刃物を持ち出してまで軽部と三橋の喧嘩を止めた教師も白いです。行動だけ見れば物騒ですが、人狼ならば喧嘩を止める必要がありません。議論せずに時間を浪費してくれるのならば、それに越した事はない筈なのです。強硬手段を村人の本気と解釈して、彼も暫定白としましょう。

宅間に投票が集まりそうになったところで宅間が占い師CO。ですが、人狼ゲーム経験者を除く全員が宅間に投票、宅間は処刑となります。宅間本人はこの上なく怪しいですが、この編成で対抗も回す事無く処刑は悪手と言う他ありません。霊能者がいないため宅間の色も不明のまま、情報の増加も望めません。ともあれ、宅間は占か狼の二者択一、こうなると占い師のような気もしてきます。主催者があえて悪感情を集めやすい人物に占いの役職を回したとも考えられます。



尚、投票は記名投票。明日からは本格的に犠牲者も出てしまうので、初日役職フルオープンの選択を取らなかった事は、後々響いてくるに違いありません。

◆一日目～二日目

犠牲者は、昨日宅間に投票せず、軽部に投票した人狼経験者の女性。
教師が軽部に救いを求めるような言動をしているため、教師と軽部はライン切れ、と読みます。

またしても投票が集まりそうなところで軽部が占い師CO、三橋を人狼として告発。どうしてこの村の占い師は怪しいCOをするのでしょうか。宅間を処刑した流れで、軽部も処刑となります。

◆二日目～三日目

犠牲者はなし。「おぉーう！　まだ騎士生きてんぞぉー！」とナイスリアクション芸で三橋が非騎士を晒します。襲撃を防がれて、咄嗟に取り繕ったとは思えない喜びようなので三橋も白でしょうか。とすると、軽部は偽物、人狼の可能性が高くなります。

宅間、軽部の処刑で、結果として占い師ローラーを行う形となったため、LWは確定。

1.宅間占い師　軽部×エックスが人狼
2.軽部占い師　宅間×三橋の二人が人狼

騎士関連のリアクション芸により、三橋の白が濃くなってきたため、私の推理は1です。更にそこから白を取った直子、教師、三橋を除外すると、残るは、直子の兄、伊丹、の二名。このどちらかがLWです。

占い師は出てもいい、との発言は撒き餌なら上手いですね。宅間、軽部の両名が人狼ならばゲームは終了している筈であり、今占い師COがあったなら人狼、それもLWが確定します。そんな中、教師が騎士としてCO、護衛先は直子。この二人は最初から白予想なので納得です。教師が占い師COを促したところ、伊丹が占い師CO。軽部は占い師として破綻して、人狼陣営が確定しました。宅間占い師、教師騎士、軽部と伊丹が人狼、となります。

伊丹は初日軽部を占って白だったと言っていますが、明らかに不審です。軽部は占いCOしていて、更に伊丹は二日目に軽部に投票しています。

えー、矛盾を指摘するかと思ったら、直子が占い師CO？　占い師4CO？　村騙り？　映画でまで利敵行為の村騙りは……うぐぐ。直子も軽部を占って白なのに軽部投票なのですね。そうこうする内に、伊丹が人狼CO。件の地下アイドル、エナの信者である事を明かし、三橋への恨み言を吐いて処刑となります。

◆三日目～四日目

犠牲者は当然、騎士COした教師。

人狼COした伊丹を処刑してまだ続いている事から、残念ながら村騙りは確定となりました。それも、宅間、軽部と二人も吊り逃れの占い騙り。ゲームとしては破綻していると言っていいでしょう。破綻したゲームにトドメを刺すように、占い師である直子が、唐突にエナ信者に鞍替えして、自殺票を投じます。



これには三橋も激怒、それはそうです、8人村で、村から3人利敵行為に走られたら勝てるわけがありません。村人の占い騙りが二人ってだけでも嫌になるのに、占い師が最終日に謎の離反、狂人まがいの自殺票……はっきり言ってクソゲーです。

かくして、謎の離反により村は滅び、ゲームは人狼の勝利となるのでした。

◆総評

推理の記録は如何でしたでしょうか。
本作を以前鑑賞した方（いるのか怪しいところですが）に、楽しんで読んでいただければ幸いです。白黒の予想は概ね間違っていませんでしたが、村騙りだけは誤算でありましたね。

初日犠牲者は、あらすじでは「隆介」と呼ばれておりますが、本編では隆介のりゅの字も出ては来ません。メインメンバーにしましても、この手の作品にはお約束である自己紹介の場面がまるっと省かれているため、最後まで「この人の名前、なんだっけ？」となってしまいます。この文章を書く時も、本編を見直して名前を修正したりして、密かに苦労をしました。各人には名札がつけられているものの、字が小さすぎて読めなーい！　なのです。物語の最初に、テロップか何かで全員の名前を表示するなどしてくれたら嬉しかったです。

悲運の事故死を遂げた地下アイドル、エナの信者、通称『エナリアン』たちが、今回のゲームの首謀者です。エナリアン曰く「お客さん五人くらいしかいないのにさ、汗まみれの全力ライブで……なんかわかんないけど、泣いちゃったよ」とのことです。その独白の直後、在りし日のエナちゃんの姿が画面に映ります。



めっちゃゆるい。

泣くと言うよりは笑ってしまいます。そもそもエナリアンって言うとえなりかずき氏しか頭に浮かばないのですがどういたしましょうってどうにもなりませんね、ええ。

何のかの言いまして、見ている間は退屈しませんでした。メチャクチャではありますが、ネタとして楽しめる作品ではないでしょうか。