ROT ロット 惨劇の同窓会
◆ROT ロット 惨劇の同窓会
評価:微妙
点数:30点
ネタバレあり
製作年:2008年 製作国:アメリカ
★あらすじ
キャンプ中のレズビアンカップルが惨殺される事件が発生。同じ頃、近くの山小屋では6人の男女が同窓会を開いていた。 久しぶりの再会を楽しむ彼らだったが……。
★一言感想
物語は、キャンプに来たレズカップルがテント内でいちゃいちゃする場面から始まります。
いちゃいちゃしていたレズカップルは、もし男がいたらからかってやろう! という謎の理由から、下着姿のまま森の中を歩き回ります。どう考えてもサービスシーンです。
徘徊する内に、レズカップルは小屋と、その扉の前に佇む謎の人物を発見します。その時、何故か仕掛けてあったベアトラップが発動し、レズカップルの片割れが足を挟まれます。相棒は「何見てるのよ、早く助けてよ!」と叫びますが、謎の人物は助けるどころか、慌てず騒がずナイフを一閃、あっと言う間に片割れを殺してしまいます。それを見た相棒は悲鳴をあげて逃げるのですが、逃げ切ること叶わず、哀れにもテントの中で殺られてしまうのでした……。
場面は変わりまして、レストラン。 昔馴染みのイザイアという人物から同窓会の招待状が届いたようで、久々に再会するらしいクラスメイトたちがレストランに集まり、思い出話に花を咲かせております。 彼らは迎えのリムジンで、山奥まで乗り付けるのですが、目的の小屋までは、更に24キロ歩くそうです。遠過ぎる……。 その上小屋にたどり着いたはいいが、扉に鍵がかかっておりました。わかりやすく絨毯の下に隠してあった鍵で扉を開けますが、食料はなく、招待したはずのイザイアの姿もない。同窓会を開こうと思ったはいいものの、イザとなったらイアになったのでしょうか?(激寒 とりあえず食料を買いに行くか、と、一部メンバーは、車を停めた場所まで戻るのですが、車は何者かによってパンクさせられていたのでした。
それにしても本作、無意味に下ネタが多いですね。 冒頭でのレズカップルの絡みから始まり、山奥まで自分の車で来たジミーはヒッチハイカーの女の子を乗せて車内でハンドジョブするし、公園警備官はJKのパンツを広げて匂いを嗅いだりするし……。
下ネタだけでなく、突っ込みどころも多いです。 同窓会メンバーが犯人の手にかかる場面にしても、殺害までの流れにすごく違和感があるのですよね。 例えばミシェールは、ジミーが横を向いた一瞬で後ろから来た犯人に連れ去られるのですが、何故かジミーはまったく気付きません。ジミーがその場を十分離れてから犯人がミシェールを襲う展開にすれば、こんな不自然極まりない描写にならなかったと思うのですが、何を考えているのでしょうか。
また、サスペンスのお約束として、最後に犯人が動機を語るのですが、要約すると「サラを自宅まで送ってくれ、と頼んでおいたのに、自宅まで送ってくれなかったせいで、サラはレイプ被害に遭った。サラはレイプの事実を隠していたが、レイパーがHIVであり、気付いた時には生まれた息子含め、家族全員がHIVに感染していた。サラは気に病み息子と共に死を選んだ」ということらしいです。 そもそもジミーは自宅の少し手前までは送っているわけで、どう考えても逆恨みであります。 そういう動機なら、真っ先に復讐するべきはレイパーじゃないだろうか……多分、レイパーが何者だか、犯人にもわからなかったんでしょうね。
ところで、冒頭のレズカップルは何故殺されたのだろう、と思っていたら、犯人曰く「人殺しは難しいと思ってたが――レズで試したら簡単だった」
ひどすぎる! いくらなんでもあんまりだ! 犯人は、大切な人を失う悲しみ、苦しみを嫌と言うほどわかってるはずだろう? だったら、試し切り感覚で何の罪もない人間を殺したりするな! レズカップルにも家族はいるだろう、大切な人もいるだろう、自分のことばかり悲劇のヒーローみたいに言って、ふざけるのもいい加減にしろ!
…………はぁはぁ。つまらないことで熱くなってしまいました。
話を本筋に戻しまして、この「ROT」お世辞にも褒められる出来ではないですが、惜しい作品ではあります。 最後まで見せる力はあると思いますし、真っ当に伏線を張ったりしているので、実は脚本もそれほど悪いわけではないです。もっとひっどい、ハッパ決めながら書いたような脚本はB級映画ではよくありますからね。 もう少し予算をかけた上で、丁寧に細部を詰めていけば、良作レベルの作品になれる可能性はあると思う次第であります。