ぼんやり考察してみよう

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カニング・キラー 殺戮の沼

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カニング・キラー 殺戮の沼

評価:普通

点数:60点

ネタバレあり

製作年:2007年
製作国:アメリ

★あらすじ
実話を基に、人間を殺した謎の巨大爬虫類の取材でアフリカのジャングルを訪れたTV局の取材班が、その未知なる怪物の恐怖に晒されるさまを描いたパニック・ホラー。

★一言感想
原題は「PRIMEVAL」

あらすじでは『巨大爬虫類』とか何とか書いてぼかしておりますが、パッケージ画像を見れば一目瞭然、ワニさんです。彼の名前はグスタヴと言いまして、実在した人喰いワニだそうです。
そう、本作はアフリカを舞台にした、ワニワニパニック映画なのでした。

動物が恐怖の主題となるパニック映画は、サメ映画、クマ映画、トリ映画、ヘビ映画、などなど多岐にわたりますが、その中でもワニ映画はマイナーなジャンルと言えるでしょう。

この映画、普通のパニック映画とは少し毛色が違います。
現地を訪れたテレビクルーは、ワニに襲われるばかりでなく、虐殺の現場を撮影してしまったばかりに、現地で活動するゲリラ組織、リトル・グスタヴにも命を狙われる羽目になります。
人喰いワニとの戦いとリトル・グスタヴとの戦いが半々くらいで描かれるため、必ずしもワニの脅威ばかりがメインディッシュではないのですね。
色々詰め込んだせいで、主題が散漫になってしまっているのは否めません。

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※ゲリラ組織のせいで、気持ち影の薄いワニさん

人喰いワニのグスタヴは、内戦で出た犠牲者の死体が沼に捨てられる内、人間の味を覚えて凶暴化した……とのバックストーリーがあったり、その内戦こそが、映画『ホテル・ルワンダ』でも取り上げられた、フツ族ツチ族の種族間対立に端を発する大規模虐殺だったりします。

うわー、ワニが襲ってきたぞー、怖いぞー、というだけの映画ではなく、そこはかとなく含蓄のある社会派風味の作品でもあります。ロメロ作品がゾンビの恐怖を描きながら、実は人間そのものの有り様を問うているような、そんな雰囲気にも似ています。
そこを、作品として纏まりがないと見るか、訴えるものがあると見るかで、本作の評価は分かれる事でありましょう。