ザ・エクスペリメンター
◆ザ・エクスペリメンター
評価:駄作
点数:25点
ネタバレあり
製作年:2017年
製作国:イギリス
★あらすじ
恐ろしいモンスターを生んだ禁断の実験施設からの脱出を描くSFホラー。
地下深くの実験施設で目覚めたフランシスは記憶を失っていた。彼は同じく記憶を失ったボウマンと地上を目指し、怪物と戦いながら施設からの脱出を試みる。
★一言感想
原題は「THE RIZEN」
あらすじだけ見たら面白そうなのですが、壮絶につまらないです。
壮絶に、だなんて、いくらなんでも言い過ぎじゃない? と思う方は、是非本作を、早送りなしでご覧ください。1時間40分以上という長尺も相俟って、はっきり言いまして、見るのが苦行なレベルです。
舞台となるのは地下研究施設で、そこからの脱出が本作の主題となるわけなのですが、舞台設定が免罪符にならないくらい、画面は常に薄暗く、背景に至ってはほとんど真っ暗です。背景を書くのが面倒で、黒をベタ塗りして誤魔化した漫画みたいな事になっております。たまに背景が映っても、コンクリートの壁に天井の電灯だけで、味気ない事この上ないです。RPGの、同じパーツを延々コピペして作った手抜きダンジョンを彷彿とさせます。
演技も酷く、序盤、ボウマン教授と化物が殴り合うあたりなどは、映画史上最もやる気のない格闘シーンではないかとすら思います。私でももうちょっと頑張って演じますよ……。俳優陣の演技は全体的に酷いですが、特にボウマン教授は、適当な素人を連れてきていきなり映画に出しましたってくらいに大根役者です。
ボウマン教授の脱力モノの演技にやられて、あらすじを書く人もやる気を失ってしまったのか、フランシスは女性なのに『彼は』などと書かれています。もう滅茶苦茶です。
舞台は薄暗くて代わり映えがしない、演技は見られたもんじゃない、となったら、最後の砦は物語ですが、率直に言って意味不明です。
――物語の概要――
謎の組織に集められた優秀な科学者たちは、過去のオカルト絡みの文献を研究するように言われました。膨大なオカルト文献を読み進めていた彼らは、秘められたある符号に気付きます。その符号を天啓とばかりに怪しい実験を始めたところ、なんと異界への穴が開きます。異界への穴を維持するには生贄が必要らしいので、科学者たちは人間を殺して生贄にします。そんな事をしている内、何かの事件だか事故だかが起こったようで、研究施設は化物だらけになります。化物は人を襲ったり、犠牲者の腸で地面にお絵かきをしたりします。記憶喪失だったフランシスは実は軍人で、穴を塞ぐ役目を持って拷問めいた実験を受けていました。異界の穴を塞ぐために自殺する、それがフランシスに課せられた任務だったのです。
何を言っているかわからないと思いますが、私にもわかりません。
何故謎の組織は科学者たちを集めたのか? そもそも謎の組織の目的は一体何だったのか? 何故科学者たちがオカルト文献の研究をしなければならないのか? 何故研究施設は突然パニックに陥って崩壊したのか? 何故化物は地面にお絵かきをしているのか? 何故フランシスは異界の穴を塞ぐ役目を負う羽目になったのか? フランシスの受けていた拷問だか実験だかは何の意味があったのか? 何故フランシスが死ぬのが異界の穴が閉じる条件なのか? 最後に出て来た地球に寄生していたやつは何なのか? 何故私はこんな意味のわからない上にクソつまらない映画を見てしまったのか?
疑問は尽きませんが、回答はありません。色々な意味で、悪夢のような映画であります。鑑賞中、退屈に耐えかね、何度早送り禁止の掟を破ろうと思ったかわかりません。早送りなし、余所見なしで、最後まで完走した自分の忍耐力を褒めてあげたいです。ここまで自信を持って、見る価値なし、と断言できる作品も珍しいですね。
余談ながら、今までイギリス映画を数作見ておりますが、微妙以上の評価がついた作品は皆無です。イギリス映画とロシア映画は、地雷のイメージが付きまといます。